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【chikiの著作権のおはなし 第13回】 第2章 エルロック・ショルメの憂鬱(1)

 こんにちは、chikiです。
 今日から第2章ということで、キャラクターと著作権についてお話ししていきます。

 わたくしたちの「キャラクター・ボーカル・シリーズ」は、「音楽ソフト」に「キャラクター」を組み合わせることで、みなさまに広くご愛顧をいただくことができました。
 CVシリーズから生まれたCGM作品は、大きく「楽曲」と「キャラクター関連もの」にわけることができます(すくなくとも、わたくしたちはそう考えています。もちろんこれらは組み合わせて使われることも普通です)。
 同じ著作権のお話といっても、このふたつは分けて考えたほうがわかりやすいのです。そこで、まずこの章では「キャラクターと著作権」について考え、次の章で「楽曲と著作権」について考えることにします。

 さて、この章はchikiのむかしばなしからスタートします。

 chikiは小学生のころ、図書館で本を読むのが大好きでした。
 放課後、いろいろな入門書をたよりに、こどもむけの歴史や科学や文学の本を読みあさっていました。
 とくに好きだったのが推理小説で、江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」とか、アガサ・クリスティやエラリー・クイーンのジュニア向けの翻訳なんかも読みました。
 もちろん、シャーロック・ホームズシリーズと、アルセーヌ・ルパンシリーズにも心をひかれていました。ホームズもルパンも、chikiのヒーローでした。

 そういう流れのなかで、『ルパン対ホームズ』を手にしたときには、ヒーローどうしの対決なのですから、それはワクワクしました。
 でも、読んでみて、「あれっ?」と不思議におもったのです。
 ホームズが、自分の知っているキャラクターとちがって、あまりかっこよく見えなかったのでした。
 それを書いたのが、ルパンシリーズの作者であるモーリス・ルブランなのは知っていましたから、ルパンをひいきして書いたんだな、くらいのことはわかりました。でも、ホームズというキャラクターが変えられたような気がして、ちょっと残念だったのをおぼえています。

 のちのち、これについてはいろいろなことを知りました。こういうかたちでホームズを使われたことに、ホームズシリーズの作者であるアーサー・コナン・ドイルが抗議したこと。
 それをうけて、ルブランがSherlock HolmesのSを動かして、Herlock Sholmes(エルロック・ショルメ)という名前に変えたこと。
 日本で翻訳されたときには、名前がホームズにもどされたこと。
 こういうことを知っていくと、ホームズもそうですけど、こんなやっつけの名前をつけられたショルメというキャラクターもかわいそうだなとおもいました。

 このことをきっかけに、この章をすすめていきます。
 「キャラクター」という存在をめぐる、ちょっと不思議な法律の旅です。
 それでは、次回以降をおたのしみに!

#ところで、当時のフランス、イギリスの著作権法では、仮にこの件が法廷にもちこまれたら
#どういう帰結をたどることになったのでしょう。
#もしご存知の方がおられましたら、弊社までご連絡いただけたら幸いです。
#とくにこちらの皆様、お伺いしてよろしいでしょうか。

(知規)